都小音研で創立50周年記念【あすにとどけ】が生まれるまで・随感【 山本瓔子・詩のギャラリー公式サイト】


都小音研で創立50周年記念【あすにとどけ】が生まれるまで 2014/6/20



【あすにとどけ】は今年小学校音楽研究会合唱研究会で創立50周年記念として委嘱を受けて書いた、発表会の為のお別れのうたです。
これは今後毎年、会が開かれる度に、テーマソングとして歌われ続けます。
どのようにしてこの歌が生まれたか、記してみます。

実はこれは私の<志(こころざし)>のひとつでもある【愛唱歌】に起因します。

1年生から6年生まで600人以上もの子達が、その日初めて顔を合わせて歌うという、超難題満載の歌なのです。
いかに易しく歌えて、【愛唱歌】として皆に愛されるかをひたすら考えて作りました。

下は幼稚園や保育園から入ってきたばかりの1年生。上はもうすぐ中学という6年生。この年齢差のある子達が初対面のよその学校とひとつになって、わずかな練習だけでうたうのです。
そして音楽を通じて、気持ちが一つになる感動にまで持って行かねばなりません。

ややこしい歌では情感が湧きません。
簡潔過ぎるのも感興が湧きません。

1番と2番の歌詞を普通に間違えるのが子供達です。
1番のそこにあるべき言葉と2番の同じ場所にあるべき言葉をどちらかわからなくなり間違えてしまうのは、ごくごく普通のことで、この責任は作詩者にあります。
ただ単に字数とアクセントとイントネーションを揃えただけの職人の作業によって生ずるのです。
そこにあるべき言葉の必然性が無いのです。

やさしい歌であるからこそ、意味をきちんと捉えてこそ別れの感情が胸いっぱいに溢れて、涙がこみ上げてくるというものです。
えも言われぬ感動を1年生にも6年生にも味わっていただきたい・・・。と、私はひたすら思いました。

「お友達になったよその学校の子達と別れたくない!」
「ああ、もっと歌っていたい!」
「わすれないでね!また会おうね!」
と瞳を潤ませてうたうものであって欲しい・・・
そんなテーマソングを提供せねばなりませんでした。

「あかとんぼ」や「ふるさと」がどうしてこんなに
長く歌い継がれているのでしょう。
いつも考えている私なのです。これは私の永遠のテーマです。
愛唱歌の条件は、
・やさしく説明無しで誰にも理解出来る歌詞。
・何の解説もなくてもすんなり心の中に入ってくる詩。
・いかに平凡な風景を描くことが大切か。
・わかりきっていることがそのまま言葉になったような。
・難しいことばは一切入れない。
・誰でも思っていることを気づかせてもらえる詩。
・考えなくていい、感動する詩。
そういうものであると思います。

現代のうたは饒舌に語りすぎます。
”こじゃれた”フレーズをあちこちに散りばめて、これでもかこれでもかと満艦飾。
”こじゃれた”表現はひとつの詩の中で1個におさめないと詩の印象が、希薄になります。
強烈なことばは一つないし二つあれば良いのです。
結局この人は何を言ってたんだろう・・・・となってしまいます。

複雑にすると歌の言葉が聞き取れなくなる場合があります。
歌は耳から入って来るものです。
言葉で聴衆に語りかける物です。
聞いている人が何を歌っているのかさっぱり解らないというのでは意味を成しません。
どんなに感動しても、曲に感動したのであって詩の意味は置き去りにされています。
ライブ会場で悲劇的な情景を歌っているのに聴く人はノリノリで身体をゆすって笑っているというのと同じです。詩が聞き取れていないのです。

話は脱線しますが・・・
私にとってもう一つ「あかとんぼ」や「ふるさと」とならんで頭から離れないのは、「モーツアルト」です。
モーツアルトの曲が時代を超えて人を励ますのは、なぜでしょう。私なりに考えて見ますと、小さな音型を活用し、音の動きのエネルギーに軽やかに従い、無駄がないからです。
常に人を励まし喜ばせてくれるし、明るさの中にふと寂しい表情を覗かせます。
これも【愛唱歌】の条件です。
【シンプルで美しい真実ほど生き残る】というのを証明してくれています。
シンプル
イズ
ベストなのです。

古くから多くの文化人、芸術家がその作品を通じて量子力学でいう「引き寄せの法則」の強さを証明してきました。
その「引き寄せの法則」でスピリチュアルでも自己啓発でも無く引き寄せられるものの一つが【愛唱歌】です。
文化芸術作品の引き寄せは、水が高いところから低いところへ流れるように自然の原理なのです。

詩人の何げなく発した(綴った)ような一言にも実はたくさんのエネルギーが詰まっています。
言葉を発する人の心のあり方が、一つのエネルギーとなって、この空間へと
流れ出ていきます。

そういう思いをひとまとめにして、生まれた歌でした。

心の中にもやもやと渦巻くなにか訳のわからない混沌をそのまま言葉にしてみましたが・・・
ちょっと自分でも解らないのですが、そういう思いを
持って日々言葉と格闘している人間が書いた、「あすにとどけ」です(笑)。

氏家先生とは丁々発止意見を戦わせました。楽しかったです!清々しかったです!アクセント一つイントネーション一つの為に50100ものフレーズとまみえての戦闘(?)でした(笑)
曲が生まれるということは、そういうものだと思います。

さあこれが丁と出るか半と出るか。わかりません。
乾坤一擲・・・歌を愛する人達にあとはおまかせします。
昔々京嶋先生とも丁々発止やり合いました・・・なつかしい。

そして、そしてこの歌は氏家先生により見事な旋律になりました!!!
この歌が東京都のみならず、全国の小学校で歌われるようにと楽譜が「音楽之友教育音楽小学版7月号に、CDが同じく10月号に載ります。
全国の皆様に心の歌としていつまでも愛されますように祈っています。

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